人生の栞


もう、ずい分前のことですが、遠洋航路の船乗りさんにこんな話を聞かせてもらいました。

大海原をゆく船にとって、大切なものの一つに、無線による通信があります。
ところが、その大切な無線を 一時間に2回、3分間ずつ、すべての船が一斉に中断するというのです。

その理由は、小さな船が遭難して発信しているかもしれない「SOS」つまり、「助けて下さい!」という電波を聞き漏らさないため。
今、出力の小さい電波で、必死に助けを求めている船があるかもしれない…。だから、世界中の大きな船も小さな船も、みんながピタッと通信を止めて耳を傾けている…。

なんだか想像しただけで 胸が熱く・嬉しくなりました。
ところが、ふと現実に目を向ければ、朝から晩まで自分の思いを発信するばかりの(子どもの前ではさらに出力を上げて)自分がありました。周りの人いうことに耳を貸さないで、やたら大きな声を出して、自分の思いを押し付けているような気がします。

それならば、船のように30分毎でなくとも、せめて一日一度 無線機のスイッチを切ってみたいものです。そしたら、聞き漏らしていた大切な声が聞こえてくるかも…。

思いますに、朝夕の仏さまへのお参りは、「心の無線機」を停止するための貴重なひとときなのかもしれません。

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◆一口メモ◆
この無線を停止する時間を「沈黙時間」といいます。(←静岡県小松様が教えて下さいました)
第一沈黙時間 (電波法第64条)
中央標準時による毎時の15分過ぎから18分過ぎまで及び45分過ぎから48分過ぎまでをいい、この時間には海岸局及び船舶局は490kHzから510kHzまでの周波数を発してはならない。

この、SOSに耳を傾ける沈黙時間の設置のきっかけはあの豪華客船「タイタニック号」の沈没でした。(SOLAS条約)
以来、弱い電波の遭難信号(SOS)も聞き漏らさないために、全世界の船舶と海岸局が守ったきたのが、沈黙時間です。
しかし現在では、モ-ルス電信が衛星通信等に代わり、平成11年1月をもってSOSは廃止されたようです。

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