人生の栞

自己啓発の本などで、よく紹介されるという、「ゆでカエルの実験」の話をご存知ですか。
それはまず、鍋で熱いお湯を沸かして、その中にカエルを入れます。
するとカエルは、お湯の熱さにたまらず、鍋から跳び出します。

次に、同じ鍋の中に水を入れ、その中にカエルを放しますと、今度は 跳び出すこともなく、鍋の中で普通にじっとしています。

そこで、カエルが入っている鍋を そのまま ガスコンロにかけて 弱火で ゆっくりと温めていきます。

さあ、果たしてカエルは 水温が何度になるまで、我慢して鍋の中にいることができるでしょうか? そんな実験です。
最初の水温は20℃でした。カエルは30℃になっても、出ません。
40℃。お風呂なら「ぬるめの湯」ですがカエルは まだ出ません。

50℃…人間なら熱くて入っていられません。しかし、カエルは出ません。

60℃でも、70℃でも出ません。

実は 死ぬまで 鍋から出ることはないのです。
この実験は、居心地のいい環境の中に身を置いたままでいると、自分の周りに起っている緩やかな変化に気づかず、大切なことを見失ってしまう ということを教えてくれます。

もしも、水を温めていく途中で カエルを一度 鍋の外に出してやり、それから また鍋に入れたなら、どうでしょう。

今度は、カエルは 水温の上昇を気づいて、すぐさま跳び出すことでしょう。

しかし、鍋の中から出ることなく、ずっと入っていたので、わが身の命に及ぶ危機さえわからなかった…という訳です。
この話を聞いて 私は すぐに 子どもに言いました

「テレビゲームばかりしてると、あたなたちもカエルのようになるよ。ゲームばかりしないで、ときには外に出て遊んだり、勉強したりして、それからまたゲームすると きっともっと楽しくなるよ。」

…と。ですが、ゆでガエルとは、子どもだけのことではありません。
忙しい、忙しいと仕事ばかりに振りまわされて、休むことを知らない人。
家族のことも自分のことも置き去りにして、大切なことに気づかず、出会うこともなく、一生を空しく終わってしまう人。そんな姿と重なります。

思いますに、仏事や法事のなどは、先立たれた方々が、忙しいと大切なことに気づかない私たちを 鍋の中から引き出して下さるご縁といえるかもしれません。

朝夕にお仏壇の前に座わってお参りすることも 同じです。
走り尽くめの日常の中、ふと 立ち止まり、 やり直しはできなくとも人生を見直す時間をもちたいものです。
※ この話は あくまで たとえ話のようで、実際にカエルで実験した結果とは 異なる…らしいです。

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