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住職ノートnote

ふしぎ・フシギ・不思議


あの地下鉄サリン事件を起こした教団が話題になり始めたころでした。その教団が不思議な超能力の成果という水中修行(息を止めて水中で10分以上とどまる)や空中浮遊の写真(←ビデオではない)をテレビのワイドショーが取り上げました。

番組では、有能な高学歴をもつ人たちが、その「不思議な超能力?」に驚いて、次々と教団に入信していったと伝えました。

この番組が終わった昼下がり、あるお寺の住職が門前で いつもお寺にお参りされるお婆ちゃんに会ったときの会話です。

住職:やぁ、おばあちゃん、いい天気やね。ところで、さっきのテレビ観た? スゴイね。何十分も水の中で息を止めたり、宙に浮いたらしいよ。びっくりしたね~。

お婆ちゃん:あほクサッ!

住:えっ? 驚かないの? 十分以上だよ、水の中、息止めて…。

婆:それがどうしたの?しょーもない。

住:ねっ?どうして驚かんの?

婆:だって、御院家(←住職のこと)さん、何分 潜っていたか知らんけど、別に たいしたことないわねっ!ホレッ、(池の中を指差して)この庭の鯉は もう何十年も潜っとるわねー!10分そこらで いばこたぁないよ!
それから何?宙に浮いた?バカらし!何分飛んだか知らんが、そこのスズメはずーっと飛んどるわいねぇ。ちょっとくらい潜ったり浮いたくらいで 不思議がるんじゃないよねー。

そして、そのお婆ちゃんの 結びのセリフ。

婆:そんなことより、「おやすみなさい」と休んだ いのちが 夜を通して息をしつづけ、心臓が動かし通しで 私が寝ても休まぬいのちに生かされて、今日の朝を恵まれた。このことの方がずっとずっと不思議なこと、驚くべきことでしょうが!わたしは お寺でそう聞かせてもろうてます。

と、近隣の先輩住職が 私に嬉しそうに話してくれたことを思い出しました。